柏市こんぶくろ池自然博物公園における昆虫相調査について(2019年2月1日)
「東京大学千葉演習林」、「高宕山周辺地域」、「県立房総のむら」に続く、定点調査の第4弾です。当初は昨年1月から1年間の予定でしたが、この12月までの1年間、期間を延長することとなりました。
大きな声では言えませんが、これまでの調査で、都会の真ん中にぽつんと残った小規模な湿地とは思えないような成果も出ており、今後もさらなる発見が期待されます。今からでも決して遅くはありません。参加してみたい方はご連絡ください。
1.位置
柏市北部に位置し、近隣には東京大学柏キャンパスや県立柏の葉公園、国立がん研究センター東病院などがあります。周囲では近年さらに宅地造成などによる開発が進み、急速に環境が変わりつつあります。その中で、こんぶくろ池自然博物公園は、戦前より残された貴重な湧水起源の湿地林であることから柏市により公園に指定され、NPO法人こんぶくろ池自然の森のみなさんが整備保全活動を行っています。
2.概要
面積は18.5ヘクタール。前に調査を行った県立房総のむらの「むらエリア」よりやや広いくらいのイメージですが、真ん中に造成地があるため、調査対象範囲は「C」字形です。全体的に平坦な地形で、「むら」などと違ってアップダウンはほとんどありません。また当地は、造成地や市街地に囲まれているため、周囲の樹林とは完全に隔絶されている点もこれまでの調査地と異なります。 調査対象範囲は、道路を境に、北から大きくA区~C区の3つのエリアに分けられます。A区は、湧水起源のこんぶくろ池や弁天池、地金堀周辺など、ややうす暗い湿地性の樹林と、その南側に広がるスギ植林地からの遷移林、クヌギやコナラを中心とする疎林、小規模な草原などがみられる地区で、管理棟もここにあります。B区は、掩体壕など太平洋戦争中の旧陸軍施設跡が確認されている部分です。やや荒れた台地性の広葉樹林で、コナラなどのほか植栽起源と考えられる樹種も多くみられます。現在整備中のため一般には公開されていませんが、調査では中に入ることができます。C区は、ごく最近公園として整備された場所で、「トンボ池」、「ふじ池」のふたつの池を中心とする湿地性の樹林で、A区よりは明るい環境です。外周部分には植栽が多いのですが、中央付近にあたる池の周囲や池の間の湿地にはハンノキが多く、クヌギやコナラなども多くみられます。
3.特徴
千葉県は気候区分では暖温帯に属しますが、ここではそれより北方の冷温帯を分布南限とするズミやウメモドキ、ワタラセツリフネソウなどの希少植物の自生が確認されています。また、概要で述べたとおり、当地は、近代以降の人間活動の影響が比較的限定的なA区、造成により環境が大きく変えられたあとほぼ放置されているB区、しばらく放置されたあとさらに公園として再整備されたC区という異なる環境変遷をたどった3つのエリアに分かれていますので、それぞれの環境における昆虫相の差などを調べてみても面白いのではないでしょうか。
こんぶくろ池自然博物公園:http://www.konbukuroike.com/
4.アクセス
(1)自家用車 常磐自動車道「柏IC」から国道16号を千葉方面に出てすぐの「十余二工業団地入口」交差点を右折し、ファミリーマートがある最初の信号を左折すると、左側に入口があります。千葉方面から国道16号利用の方は、「呼塚」交差点を過ぎたしばらく先の「十余二工業団地入口」交差点を左折してください。
(2)鉄道利用 つくばエクスプレス線「柏の葉キャンパス駅」西口を出て、県道47号線を北に10分ほど(700m)進むと最初の信号のある交差点の向こう側に公園が見えます。これがC区(1号近隣公園)なので、地図や案内にしたがって管理棟にお越しください。また、同駅西口から東武バス「江戸川台駅東口行(国立がんセンター経由)」もしくは「柏の葉公園循環」線に乗り、「国立がんセンター」バス停下車徒歩5分です。
5.参加にあたって
参加してみたい方は、まず担当幹事宛にその旨をメールでご連絡ください。折り返し調査要項をお送りしますので、要項をよく読んで、内容を把握しておいてください。その後、月ごとに調査日程をメーリングリスト等で配信します。
参加希望&データ提出&相談:konbukuro@freeml.com
6.注意事項
(1)「房総のむら」ほどではありませんが、お散歩中の近隣の方や、一般来園者も多く訪れる場所です。通常は昆虫の採集が禁止されているので、貸与された腕章を上半身の目立つ場所に常時着用してください。
(2)調査はあらかじめNPOに届け出たうえで実施します。事前に担当幹事宛にメールなどで参加申し込みをしてください。届け出は担当幹事が行いますので、直接NPOに申し込むのはNGです。
(3)安全に関しては、すべて自己責任とします。特に小学生以下の参加者については必ず保護者が同伴してください。小学生以下の者の単独での参加は認めません。
(4)季節によって、希少植物保護のため立ち入りが制限される場所があります。NPOの担当者及び担当幹事の指示に従ってください。
(5)ただの昆虫採集ではありません。あくまでも調査です。採集地点(エリア:図のA1~C7)はもちろん、どのような手段で採集したか、どんな場所にいたか、植物の名前と部位、その虫がなにをしていたかなど、可能な限り詳細なデータを記録してください。なお、定点調査はデータ量が勝負です。普通種など採集するまでもないと思われる種についても、目撃、撮影、確認などで記録し、報告に加えてください。
(6)データは、同定困難なものを除き、指定の様式を用いて調査の翌月末までに報告してください。
(7)外部に同定を依頼するのは、専門家以外では同定困難なものに限定してください。また、他のメンバーが同じような分類群について依頼を検討していることもありますので、必ず依頼に出す前に担当幹事にご相談ください。
※以上のほか、要項に記載されている注意事項が守られなかった場合、その後の調査への参加をお断りすることがあります。あらかじめご了承ください。
A3 こんぶくろ池 A4 草原 B2 道路脇 C2 トンボ池 C3 中央湿地 C4 ふじ池

