7. 会員著書

『日本産有剣ハチ類図鑑』 (2016年5月12日付 掲載)
本会会員、須田博久氏を編著者の一人とする「日本産有剣ハチ類図鑑が、東海大学出版会から刊行された。編著は寺山 守・須田博久両氏で、お二人を含む10名の著者により執筆。有剣類のうち、アリ類とハナバチ類を除く全種(847種)が掲載されている。また、図鑑に掲載された標本はほぼ須田氏が担当しており、そのうち5割弱は千葉県産とのこと。高次分類体系は分子系統解析に準拠しており、全グループで種までの検索表を提供。日本産種一覧や、地域別、分類群別の文献目録も掲載している。
A4判 定価24,000 円+税

日本産有剣ハチ類図鑑

書評『昆虫博士入門』 (2014年9月30日付 掲載)
本会会員ゴミムシダマシ専門家の山﨑秀雄氏の処女単行著書が刊行された。日本の昆虫界25目を扱ったカラー生態写真を可能な限り掲載した類書のない観察図鑑に仕上がっている。普通、類書では企画・構成から出版までは比較的短年で完成を急ぐケースが多くみられるが、著者はフィールド調査のかたわら自ら生態写真撮影も進んで行ない、集まってくる協力者からの生態写真提供を受けては、新たな構想が次から次へと湧き出すため、昆虫の多様性の面白さを少しでも読者に伝えたいという思いのため、10数年の歳月をかけて熟成させ、完成したのだという。
本書は「昆虫の体の構造」、「昆虫のくらし」、「いろいろな昆虫を見る」、「昆虫博士をめざして」の四章から成り、第一章では昆虫の各部位の構造を標本や生体の実物を使って解説しているので、今迄のようなモノクロを図示しての解説に比べ非常に判り易く、また様々な昆虫群が扱われているので理解度を増すばかりでなく、初心者にとっては昆虫に対する深い興味が湧く入口となるだろう。続く第二章では様々な環境適応の結果生物の中で最も繁栄した昆虫類のそれら戦略を、変態から始まり、羽化・産卵・生活形態など多くの生態写真を駆使して様々な角度から紹介。第三章では日本産昆虫類のほとんどすべてにあたる25 目の昆虫類について初めて図示される興味深い生態写真も含め本文全体の7割を越える実に128 ページ分を使って紹介している。各章の写真解説には関連内容のページ紹介が示されているので、これは便利でありがたい。これら第一章から第三章までステップアップしながら先へ進んでゆくと、もっと昆虫について知りたくなる欲求は深まることだろう。そこで待ってましたとばかりの第四章では昆虫に対する観察をより深めるための昆虫館、博物館の一覧は最新のものであり、文中に多用された主要専門用語の解説や参考書籍の紹介もありがたい。初心者にとっては判り易く昆虫に親しみやすい内容となっていて、より理解を深め昆虫がますます好きになるような、まさに昆虫との出会いにとって不可欠な1冊に仕上がっているのがうれしい。また我々虫好きにとってもふんだんに使われた生態写真を通して多くの知らない昆虫達との出会いがあり、昆虫とは何かといった基本部分が再認識出来る一冊でもあり、久々の好著である。(斉藤洋一)
B5判232頁、全国農村教育協会刊

『我孫子市の昆虫』 (2011年1月31日付 掲載)
会員の青木直芳氏が「我孫子市の昆虫」を出版されました。内容は、青木氏ご自身で採集されたものに、過去の昆虫文献目録を加え、18目2,541種の記録をまとめられた労作です。分類の難しい種群については専門家に同定を依頼したということで、信頼性も高い資料です。千葉県の場合、県南のデータは豊富ですが、県北のデータは少なく、一都市に限ったデータとはいえ、県北のみならず、県全体の昆虫相を解明する上で大変貴重なデータだと思います。
A4判 247頁、2010年3月15日、岡発戸・都部の谷津を愛する会

我孫子市の昆虫

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